コミュニケーションについての雑感-20 
      アニメ「ガルパン」ファンと地元との交流 


今日はポイントの②
「訪れるファンが自分の本当の故郷であるかのような感覚を持ち、一緒に気持ちの良い関係を築いていった。」
です。

ガルパンイベントはいろいろですが、ここではあんこう祭りを中心にみていきます。

公式発表での来場者数の推移をみてみましょう。

2011年 第15回 東日本大震災や前日の雨の影響などで 約3万人(前年の70パーセント)

2012年 第16回 ガルパンがからみはじめる 過去最多の6万人


*2014,7,25 OVA これが本当のアンツィオ戦です

2014年 第18回 約10万人

*2015,11,21 ガルパン劇場版全国上映開始

2016年 第20回 約13万人 水戸駅での鹿島線乗り場までの大行列が話題となる

2019年 第23回 約14万人 

(2020・2021 コロナで中止)



たとえ話題になったような多くのアニメが放送が終ると急速に話題にのぼらなくなるのが常の中。ガルパンはテレビ放送が終了して以降に、OVAの発表などがあってにしても、どんどん来場者数が増え続けたというのが大きな特徴です。

新規ファンが増えただけではなく、リピーターが非常に多いんですよね。

ガルパンイベントに何度も行っている知人のいうには、「ガルパンイベントに出かけていく」というよりも、
「ふるさとに帰っていく感覚の人が結構いるのでは?」という意見です。

大洗までのアクセスってお世辞にもいいとはいえないんですよね。
大洗の中心部に向かう道路はそんなに広くもないし、いくつもあるわけじゃない。休日のお昼近くなどはズラーッと車が並んでの大渋滞。ましてやガルパンイベントの時はすごいらしいです。だから彼も未明の4時くらいにでかけて駐車場を確保し、開催を待つのだといっていました。

公共交通機関も事情は同じ。バスは論外ですよね。道路が大渋滞なのは同じですから。
そうすると大洗鹿島線がたよりなのですが、これが地方のローカル鉄道。単線で通常2両編成
単線ということもあって臨時の増便などが簡単にはできません。
それで2016年の水戸駅の大行列は地元では大きなニュースになっていました。

なんだかこれってお盆や正月の「帰省ラッシュ」に似ていませんか?
そうまでしても人々が引き寄せられる・・・それはガルパンの声優さんがゲストに来たり、グッズ販売目当てもあるでしょうけど、地元の方々がふるさとに帰ってきた家族や親族を温かく迎えてくれるのと似たような感覚がるようなんです。

大洗の町中でガルパンキャラのパネルがお店の前にあるんですが、感覚としては「うちの娘」・・・それぞれのキャラの実家であるような感じらしいんですよね。そこにそのキャラ推しのファンが、自分の実家でもあるような感覚で帰ってきて、店の方々とおしゃべりを楽しんでいると。

実際に大洗町ではガルパンキャラで大洗町在住となっている子たちには住民票が発行されています。



このあんこう祭りの時ような横断幕だって、実際に試合が行われるかのように掲げられています。
劇場版で大洗女子が全国優勝した時には、大洗駅などに祝勝の幕が飾られていましたからね。
本当に地元の高校が全国優勝をはたしたかのように。

そんな風にアニメは架空のことであるとわかっていても、「本当にみんなこの町で暮らしている子たちだよ」という世界を地元の人達と訪れたファンの人達とで一緒に作り上げている。
これって人間が幼い頃からちゃんと持っているイマジネーションの共感・共有能力ですよね。
互いに信じていれば、それはもう本当の世界になる。

この感覚は深いレベルでのコミュニケーションには絶対になくてはならないものです。


そういった「共に」という意識があってのことでしょう。例えばこんなエピソードがあります。
アンツィオ戦のOVAの時には、劇中に出てきたパスタを出すということでおばあさんが一人でやっている小さなお店が話題をよびました。イベントの時にはお客さんが多くて大変・・・すると誰に言われるまでもなく、お客さん同士でお皿を片付けたり、皿洗いを手伝ったりという光景がみられたそうです。
そんなエピソードはあちこちにありましたね。パソコンが得意なお客さんがそのお店のメニューを自作して持ってきてくれたとか。
もう本当に自分の実家のおばあちゃんがやっているお店を手伝う、っていう感覚ですよね。


自分達が観光客として楽しむんだ・・・だけではなく、地元や他のファンの方々と一緒になって、いい時間を空間と人間関係をつくっていくんだ、という意識。


こんな話もききました。
劇場版で急に新しいファンが増えたときに、やっぱり普通のアニメイベントと同じような感覚を持ち込んできた人達が少なからずいたそうなのですが、古参のファンが優しくここでのマナーを教えていったと。

今の日本から消えてしまってきている 地域で声をかけあう ということが起きていたようです。
その象徴がイベント後にネットでよく画像が紹介されていたのですが、ゴミなどが落ちていない街中の様子。

日本各地のイベント後にあちこちに捨てられている膨大なゴミが問題になっていますが、ごみは出さない、落ちていたら自主的に拾う、という人が大半なのだと聞きました。


ゴミをまき散らす、無断でいろいろなところに勝手に入り込む・・・等々で、聖地巡りお断り になってしまう場合も多いわけですが、そういう地元の人達の気持ちも考えずに「ケチ」とか「そのくらいいいじゃないか」と文句をつける人も残念ながら多いわけですよね。

でもガルパン聖地では、「守らなければいけない規則」 というよりも、そのルールやマナーを守るからお互いに気持ちよくいい時間が過ごせる、という意識で守られているということなのでしょう。



コミュニケーションでも、相手や周囲の気持ちを全く考えずに「自分の思い通りにしろ!」と一方的に要求する人がどんどん増えているし、要求のしかたもエスカレートしています。

でも本当は、そんな風に他人に要求するのであれば、自分も他人から要求された時にそれに従わなければ同じ人間としてフェアではない。でもそんなことは真っ平ごめん・・・・

本当に理不尽な人達に囲まれて辛い思いを耐えているという人は別です。

でも、そういう人達に多大な我慢を強いているのに、なお「自分がどうしてみんなのために我慢しなければならないんだ!自分にストレスがあるのはみんなが悪い!社会が悪い!!」なんてやり続けたらどうなるのか・・・・

周囲を考えなくなっているんだから、自分ばかり気配りを続けていたら損 じゃあ自分もこれからは我が侭を通そう
なんていう方向には進まないでもらいたいものです。

せっかく人間としていい生き方をしているんですから。


まあどうしてもそういう幼い心から卒業できない人は気にしないで、
大人としてお互いに気持ちよく過ごせる行動がとれる人達で、どんどん いい世界の輪 を広げていきたいものですよね。
勿論幼い心から卒業という気持ちになってくれた方々は、どんどん仲間に引き入れるわけですけどね。


身勝手な人達が増えてギスギスしている現代だからこそ力をあわせていきましょうよ!